住宅ローンを借りる時に不安なのが、審査に通るのかどうかではないでしょうか。様々な審査項目が金融機関ごとに変わりますが、勤続年数や転職回数は銀行が審査チェックする項目です。
今回は、住宅ローン審査に影響する勤続年数と転職回数の関係について説明していきます。
勤続年数と審査の関係
勤続年数が長い短いは審査でどんな影響が?
勤続年数は住宅ローンの審査をする上で重要な審査基準です。勤続年数が長ければ長いほど、一般的には住宅ローンの返済能力が高いと判断されます。
住宅ローンは35年など長い期間にわたって返済されるものです。そのため、勤続年数が長いことは、これからの長い返済期間でも返済能力が続きやすいと判断されます。
勤続年数が長いメリット
勤続年数が長いことによるメリットがあります。それは「審査で有利」なだけでなく、「優遇金利が受けやすい」点もあります。
なぜなら、銀行側からすると、返済能力や信頼性が高い顧客に住宅ローンの融資をしたいものです。その観点からすると勤続年数が長い人は、返済能力が高く信頼性がある顧客だと判断することになるのです。
勤続年数が短く、転職まもないと審査に落ちる可能性が
銀行ごとに審査基準が異なるため、一概には言えないですが、勤続年数が短い場合は住宅ローンの審査で不利になりやすいです。同じ会社の人でも勤続年数の長い短いで金利条件や審査結果が異なる場合もあります。
勤続年数が短くても審査が大丈夫な例
必ずしも勤続年数ががなければ長い方が良い訳ではありません。なぜなら、勤続している会社の経営状況も審査されるからです。
会社の経営状態やキャッシュフローが悪く、いつ倒産してもおかしくない会社に属している場合、長い期間にわたって返済する必要がある住宅ローンを返済していけるかどうかは銀行側が不安に思ってしまいます。
そのため、会社の経営状態が芳しくないと、勤続年数が長くても審査で不利になる可能性があるのは理解しておく必要があります。
これらを考慮すると必ずしも勤続年数が長ければ良い訳ではありません。別の言い方をすると、経営が良くない会社で勤続年数を重ねるよりは、経営状態が良い会社で勤続年数が短くても、審査結果が良いことも発生し得ます。
つまり、経営状態が良い会社への転職の結果、勤続年数が短い現状であれば審査が大丈夫なこともあります。
転職したばかりで住宅ローンを申し込む際のポイントは別の記事で紹介しております。こちらも参考にしてください。
例えば、「運送業」「パチンコ屋」「ハウスメーカー営業マン」「生保」の業界は他の業種に比べて審査がかなり厳しく見られます。
転職したばかりで勤続年数が短い場合の対策方法
勤続年数が半年や1年でも審査をしてくれる銀行を探す
では、実際に勤続年数が短くても住宅ローンの審査を行ってくれる銀行はどこなのか。と不安に思う人もいるかもしれません。
筆者がお勧めする「勤続年数が半年や1年でも審査をしてくれる銀行」は下記の記事をみてください。
銀行 | 勤続年数の審査基準 |
---|---|
転職後1年未満の方は全ての職歴が記載された職歴書が必要。 |
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1年未満の場合は、所得証明書類に加え、現勤務先での事業所印のある年収見込証明書(年収記載の雇用契約書・採用通知書、年収見込証明書や給与明細書)の提出が必要 |
特に勤続年数が短いことが不安ならフラット35をするのもおすすめな対策方法
「勤続年数が短くて、審査が非常に不安です!」という人であれば、フラット35も選択肢に入れた方が良いです。
なぜならフラット35には、勤続年数の条件は定められていないからです。転職後1か月分の給与があれば審査を行うことも可能です。
フラット35で審査を通すのであれば、転職後、1か月分の給与明細で審査は可能ですが見込み年収として低い金額で審査をされることもあります。そういったケースでは年収に対する借入枠が小さくなると言わざるを得ません。
勤続年数が短い場合でフラット35の仮審査を行うと「留保」となることが多いようです。あくまでも住宅金融支援機構の審査が出ないと、審査OKかどうかが分からないようです。
前職の勤続年数と合算してもらうよう相談する
同業種で年収がアップしたり、弁護士など資格が必要な職種への転職などキャリアアップを目指した転職をした場合、前職の勤続年数と合算できないか金融機関の担当者及び、相談している不動産会社に相談するのも方法の1つです。
前職の勤続年数が15年を経て転職後1年の場合だと、勤続年数を合算することができれば勤続年数16年として住宅ローン審査の面から非常に有利に進めることが可能です。
夫婦のペアローンは勤続年数が短い場合でも審査を通す手段の1つだが、もろ刃の剣
勤続年数が短くて足りない場合、夫婦のペアローンや収入がっさんによる連帯債務による住宅ローンをおススメされることもあります。住宅ローン審査の面からすると、たしかに夫婦を連帯保証にすることができれば、審査の側面からはプラスになります。ただ、ペアローンや連帯債務とする場合、どちらかが支払いできないときは、もう片方の債務者に返済を迫ることができるなど、一長一短です。いざという時のリスクが増えるペアローンや収入合算による住宅ローンの借り方には覚悟が必要だといえます。
転職回数も審査項目の1つ
(引用元:国土交通省『平成17年度民間住宅ローンの実態に関する調査』より)
上記は国土交通省の統計調査で、住宅関連事業者が感じる勤続年数についての所感です。転職回数が多いことで、審査の否認をされてしまう可能性もあるようです。
勤続年数以外に注意するべき審査項目
勤続年数は、住宅ローンの審査でみられる重要な項目です。そのほかでも審査で重要な項目があります。次に説明していく審査項目もあわせて審査される点も考慮しておきましょう。
①年収
住宅ローンを借り入れる時には、貸し出す金額に対してどれくらいの年収かが審査されます。多額な住宅ローンに対して、年収が低いと債務滞納者になるリスクが高くなってしまうので、審査が否認されてしまう可能性があります。
そういった意味で、年収に対する借入額が何倍までか、月々の返済額の負担比率はどれくらいが良いのかを気にする必要があります。
詳細な内容は下記の関連記事を確認して下さい。
②完済時の年齢
銀行が審査をするときに併せて見られるのが、返済計画を立てる時に完済時の年齢が何歳であるかどうかということです。一般的に60歳前後で退職を迎える人が多いです。
そのため、60歳前後で年金生活を送る場合、年金だけで住宅ローンを返済することはかなり厳しい家計状況になります。そうすると、60歳以降も返済を続けるような返済計画で審査を申し込む場合は、審査が否認される可能性もあるかもしれません。
③勤務先
勤務先は重要な審査項目となります。経営状態が芳しくない会社で勤務している場合は審査で不利になるケースが多いです。また、会社が属している業界によっても審査の有利不利が存在します。
④健康状態
返済者の健康状態も重要です。過去に大きい病気にかかっている場合などは、審査に不利で別の住宅ローン商品をお勧めされたり、審査結果が不利になる可能性があります。
⑤担保価値
当然のことですが、住宅ローンの融資対象となる物件の担保価値は重要な審査項目の一つです。中古であれば、築年数によって担保価値が変わります。新築であれば、建っている土地や住宅の専有面積など、様々な指標から担保価値を算出します。
新築であれば、あまり気にする必要がないかもしれませんが、中古の場合、担保価値をある程度把握しておく必要があります。詳細は耐用年数について紹介している記事をご確認してください。
⑥自己資金の有無
住宅を購入する時に、自己資金がどれくらいあるのかも審査で確認されます。
もちろん、自己資金が豊富な人が住宅ローンを借りてくれるのであれば、銀行も安心して融資をしてくれるものです。
そのため、自己資金がどれくらいあるかによって審査可否が変わる可能性があることを知っておくとよいでしょう。
まとめ
- 勤続年数は長いほうが審査や金利条件が優遇される可能性が高い
- 勤続年数が長くても会社の経営状態によって審査が否決となることも
- 経営状態が悪い会社よりは、経営状態が良い会社に転職して勤続年数が短い方が審査で有利なことも
- 勤続年数が短い場合は、勤続年数が短くても審査OKの銀行を選ぶこと
- 勤続年数が短い場合は、フラット35を利用することも選択肢の一つ
銀行 | 勤続年数の審査基準 |
---|---|
転職後1年未満の方は全ての職歴が記載された職歴書が必要。 |
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1年未満の場合は、所得証明書類に加え、現勤務先での事業所印のある年収見込証明書(年収記載の雇用契約書・採用通知書、年収見込証明書や給与明細書)の提出が必要 |